梅坪のお菓子づくり
平安堂梅坪は、素材を吟味し、手間を惜しまず、ほんもののおいしさをもとめて、こころ和むお菓子を作り続けます。特別ではなく、こだわりでもなく、当たり前のこととして。
歴史を伝えるお菓子づくり
日本の菓子の歴史は古く、神代の時代までさかのぼります。
『日本書紀』によれば田道間守命(たじまもりのみこと)は垂仁天皇の命で常世の国に向かい、「非時香果(ときじくのかぐのこのみ)」を持ち帰ったとあります。「非時香果」とは「橘」のことをさします。
広島におけるお菓子の製造業が本格的に発展したのは江戸後期から明治にかけてのこと。
特に日清・日露戦争当時、大本営が広島に置かれた明治中期には、日保ちがする羊羹、特に柿羊羹がお土産品として隆盛を極めます。
しかし、広島は原爆により人材や設備を失い、大打撃を受けました。
平安堂梅坪(当時「平安堂」)も閉鎖せざるを得ない時期がありましたが、戦後まもなく良質の原材料が手に入るのを待って再開。以来、羊羹をはじめ、饅頭や餅菓子など、昔ながらのお菓子を作り続けています。
各々のお菓子の文化的な成り立ちや物語とともに、後世へ残していく、伝えていくことが大切だと考えています。
季節と伝統を形づくるお菓子づくり
日本には美しい四季折々の情景やさまざまな伝統行事があり、お菓子と深く関わるものが多くあります。
次第に失われつつある季節感や、風情ある伝統行事ですが、平安堂梅坪は、人の一生に彩りを添えてくれるものとして「季節の前触れ」をお菓子にたくし、お客様へ伝え続けていくことが務めだと考えています。
素材を感じるお菓子づくり
本当においしいお菓子とは、心をこめて素材を吟味し、一切の妥協なく、手間を惜しまず作られたものです。
平安堂梅坪では、厳選された最良な素材を使用し、自社工場であん作りから行っています。
あんに必要な小豆は、風味や口どけ、舌ざわりなどを考慮し、それぞれのお菓子に合ったものを選びます。また上生菓子には天然色素のみを使用し、優しい色合いを大切にしています。
安全なお菓子を安心して召し上がっていただくために。
舌でも目でも楽しんでいただくために。
お客様にひとこと「おいしい」と言っていただくために。
「買ってよかった」と満足していただくために。
新しい感動を与えるお菓子づくり
近年、あんこが苦手な若い世代が増え、和菓子離れが進んでいるように感じます。
しかし、お菓子には人を幸せにしてくれる不思議な力があり、どんなに時代が変わっても、お菓子を食べる喜び・感動はなくならない、と考えています。
平安堂梅坪では、熟練した職人の技術と経験をもとに、時代に即した新商品の開発にも取り組んでいます。
今までにない味に出会った感動や喜びを味わっていただくことで、お客様のこころをより豊かにしていきたいと考えています。